コラム
介護福祉士になるには?4つの資格取得ルートや試験概要を解説
介護福祉士資格は、介護にかかわる一定の知識や技能を習得していると証明できる唯一の国家資格です。社会の高齢化が進む中で、介護のプロフェッショナルである介護福祉士のニーズは高く、就職にあたっても役立つ資格と言えるでしょう。ただし、介護福祉士資格を取得するには介護の専門的な知識や技術を身につけ、国家試験に合格する必要があります。
この記事では介護福祉士資格を取得するための4つのルートや、最短で介護福祉士になるのにかかる時間、介護福祉士の仕事内容やキャリアパスを解説します。
1.介護福祉士になる方法|資格取得ルートは4つ
介護福祉士になる方法は、日本国籍の方向けに用意された3つのルートと、外国籍の方向けに用意された1つのルートがあります。
資格取得に必要な条件や、資格取得までにかかる年数の違いを把握して、自分に合うルートを選びましょう。
介護福祉士の資格取得ルート4つについて、具体的な内容を解説します。
1-1.養成施設ルート
養成施設ルートは、指定の介護福祉士養成施設を卒業後に介護福祉士国家試験を受験するルートです。
養成施設ルートの基本的な流れを紹介します。
1 | 高等学校を卒業後、介護福祉士養成施設に入学する。 |
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2 | 介護福祉士養成施設で2年以上の修業をして、卒業する。 |
3 | 介護福祉士国家試験の筆記試験を受験する。 |
4 | 合格後、介護福祉士資格を取得する。 |
なお、高校卒業後に福祉系大学等・社会福祉士養成施設等・保育士養成施設等への入学・卒業をしている場合は、介護福祉士養成施設の修業期間は1年以上となります。
また、養成施設ルートは近年に制度変更の影響を受けたため、2017年4月1日~2027年3月31日の養成施設卒業者を対象として経過措置が用意されています。
経過措置は、介護福祉士国家試験に合格しなくても卒業翌年度から5年間の期限付きで介護福祉士資格を取得でき、以降も条件を満たせば取得継続ができるという内容です。
1-2.福祉系高校ルート
福祉系高校ルートは、福祉系高校・福祉系特例高校を卒業後に介護福祉士国家試験を受験するルートです。
福祉系高校ルートの基本的な流れを紹介します。
1 | 福祉系高校に入学・卒業する。 |
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2 | 介護福祉士国家試験の筆記試験を受験する。 |
3 | 合格後、介護福祉士資格を取得する。 |
なお、福祉系特例高校に入学・卒業する場合は、卒業後に9か月以上の実務経験が必要です。
また、福祉系特例高校の卒業者は、介護福祉士国家試験の受験申込時に実技試験の有無が選択できます。実技試験の免除を選択した場合は「介護技術講習」、もしくは「介護過程・介護過程III」の受講が必要です。
1-3.実務経験ルート
実務経験ルートは、要件となる実務経験年数と指定の研修を修了後に、介護福祉士国家試験を受験するルートです。
実務経験ルートの基本的な流れを紹介します。
1 | 3年以上の実務経験を積む。 |
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2 | 指定の研修(実務者研修、もしくは介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修)を受講・修了する。 |
3 | 介護福祉士国家試験の筆記試験を受験する。 |
4 | 合格後、介護福祉士資格を取得する。 |
指定の研修に含まれる実務者研修とは、以前は「ヘルパー1級」「介護職員基礎研修」と呼ばれた資格の廃止・統合により生まれた資格です。正式名称は「介護福祉士実務者研修」であり、質の高い介護サービスを提供するために必要な知識・スキルの証明となります。
もう1つの介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修については、両方の研修を修了している場合に実務者研修と同等の受験資格を得られます。
なお、3年以上の実務経験は、具体的には従事日数として540日が必要です。介護の現場での在籍年数が3年以上であっても、実際に就業した日数が540日未満の場合は、実務経験ルートの条件を満たせない点に注意してください。
1-4.EPA(経済連携協定)ルート
EPA(経済連携協定)ルートは、日本と外国の経済連携協定にもとづき、外国籍の方が介護福祉士資格の取得を目指せるルートです。
EPA(経済連携協定)ルートを利用する場合には、EPA介護福祉士候補者として来日し、3年以上の実務経験を積んだ上で介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
なお、EPA(経済連携協定)ルートの対象となっている国籍は、2024年現在はインドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国のみです。
2.最短で介護福祉士になるのにかかる時間
介護福祉士になる方法としては4つの資格取得ルートがあるものの、いずれのルートを選んだ場合にも、介護福祉士国家試験は受験しなければなりません。
介護福祉士国家試験の受験資格を満たすまでにかかる時間は、資格取得ルートごとに異なります。
最短で介護福祉士になれるルートは「養成施設ルート」で、介護福祉士養成施設に2年以上通うことで受験資格が得られます。
さらに、福祉系大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設のいずれかを卒業していれば養成施設の通学期間は最短1年となり、1年程度で介護福祉士になることも可能です。
一方で、福祉系高校ルートと実務経験ルートを選んだ場合は、介護福祉士になるまでに最短でも3年の期間がかかります。
3.介護福祉士国家試験の概要
介護福祉士国家試験は、厚生労働大臣の指定を受けた公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが実施する、介護福祉士資格の認定を行う国家試験です。
介護福祉士国家試験は年1回実施されており、第36回は下記の内容で実施されました。
【第36回介護福祉士国家試験の概要】
試験期日 | 2024年1月28日 |
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試験地 | ・筆記試験 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 ・実技試験 東京都、大阪府 |
試験科目 | ・筆記試験 領域:人間と社会(人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解) 領域:介護(介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程) 領域:こころとからだのしくみ(こころとからだのしくみ、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解) 領域:医療的ケア 総合問題(上の4領域の知識・技術について横断的に問う問題を、事例形式で出題) ・実技試験 介護等に関する専門的技能 |
合格率 | 82.8% |
出典:厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験の施行について」
第36回の合格率が82.8%となっているように、近年の介護福祉士国家試験は合格率が70~80%と高い傾向があります。
しかし、介護福祉士国家試験は決して難易度が低い試験というわけではありません。
受験者は養成施設・学校で指導を受けたり、業務の経験を積んだりしているにもかかわらず、20~30%が合格できないほどとなっています。対策勉強をしなければ合格は難しい難易度と考えたほうがよいでしょう。
4.介護福祉士の仕事内容
介護福祉士資格を取得した方は、介護施設などの現場において専門的知識・技術を発揮し、介護の専門家としてサービス提供に従事します。
介護福祉士の主な仕事内容は下記の5つです。
身体介護 | 食事介助・排泄介助・入浴介助など、利用者さんの身体に直接触れて介助を行う仕事です。 |
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生活支援 | 掃除や洗濯など、利用者さんの身体に直接触れずに日常生活の支援を行う仕事です。 |
相談・助言 | 利用者さんや家族の方から介護・生活に関する相談を受けて、適切な助言を行います。 |
社会活動支援 | 利用者さんが地域や社会とつながりを築けるようサポートする仕事です。 |
チームマネジメント | 介護現場のチームリーダーやユニットリーダーとなり、チームのマネジメントを行います。 |
介護福祉士は介護分野における唯一の国家資格であり、資格を保有すると勤務先の施設で活躍できます。
4-1.介護福祉士のキャリアパス
介護福祉士の資格取得後も、さらに介護関連の資格取得を目指すことでキャリアの積み重ねができます。
介護福祉士のキャリアパスとしては、下記の資格取得を目指すとよいでしょう。
認定介護福祉士 |
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認定介護福祉士は、介護福祉士の上位に相当する資格として一般社団法人 認定介護福祉認証・認定機構が認定している民間資格です。資格を取得すると、利用者さんに寄り添った質の高い介護が提供できる能力を持っていることの証明となります。 認定介護福祉士になるには、介護福祉士資格取得など指定の要件を満たした上で、認定介護福祉士養成研修の受講が必要です。全科目の履修後に認定申請の手続きをすることで、認定介護福祉士として認定されます。 |
ケアマネジャー |
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ケアマネジャーは正式名称が「介護支援専門員」であり、介護保険法に規定されている専門職です。ケアマネジャーは利用者さんの相談を受けて、適切な介護サービスが提供できるように内容・目標をまとめた「ケアプラン」の作成を主に行います。 ケアマネジャーになるには、介護福祉士資格取得など指定の要件を満たした上で、介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。合格後に介護支援専門員実務研修を修了することで、介護支援専門員として登録できる仕組みです。 |
いずれも介護福祉士資格の取得が前提条件となっており、介護福祉士として働く方にとって次の目標に定めやすい資格です。
まとめ
介護福祉士になるルートは4つあり、うち3つは日本国籍の方向けに用意されたルートです。養成施設ルートでは、国が指定した養成施設を卒業後、国家試験に合格すれば介護福祉士と認められます。福祉系高校ルートも同様に卒業後に国家試験に合格する形を取りますが、特定の講習を受講していれば実技試験が免除される特徴があります。実務経験ルートは、3年以上の実務経験を積んだ上で、実務者研修もしくは介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修を終了し、介護福祉士国家試験の筆記試験に合格するルートです。
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