コラム
医療秘書の仕事内容|仕事内容・給料相場から有利な資格まで
医療秘書は、医療機関の裏方として医師や看護師を支え、地域の人々の健康的な生活を支援する大切な職業です。しかし、一般の方と関わることの少ない職業でもあるため、「具体的な仕事内容が分からない」「医療秘書のなり方を知りたい」と思う方も多くいるでしょう。
そこで今回は、医療秘書を目指す方に向けて、主な仕事内容や役割、給料相場を解説します。医療秘書になる方法も把握し、ぜひ医療・福祉分野で活躍できる人材を目指してください。
医療秘書・医療事務を目指すなら!
目次
1.医療秘書とは?
医療秘書とは、主に総合病院や大学病院、クリニックなどに所属し、医師や看護師の秘書業務を担当する職業です。製薬会社や調剤薬局で働く医療秘書もいて、勤務先の選択肢は豊富にあります。
2019年10月1日時点における日本の高齢化率は29.0%にも上り、少子高齢化に歯止めのかからない状況です。1990年の高齢化率が12.1%であったことを考慮すると、少子高齢化の進行は顕著と言えます。
少子高齢化が進行するほど、医療介護サービスに対する需要は高まることが通常です。医師や看護師に対して過剰な業務負担のかかる状況を回避するためにも、医療秘書の存在は欠かせません。
1-1.医療秘書と医療事務の違い
医療系の仕事として医療事務は一般によく知られている資格ですが、医療秘書の業務は医療事務とは異なります。医療事務は患者への対応がメインであり、診療所や総合病院などの医療機関において、受付での会計、診察科の案内、診療報酬明細書を作成するレセプトなど、患者と病院をつなぐ役割を持つ業務に携わります。
医療秘書は、患者への対応ではなく、医療従事者や医療関係者に対する業務サポートが主な業務です。勤務先によりますが、医師のスケジュール管理、来客対応、書類作成や情報管理などの秘書業務を行います。
1-2.医療秘書とドクターズクラーク(医療事務作業補助者)の違い
医療秘書とドクターズクラーク(医療事務作業補助者)は、業務が似ているように見えますが、業務範囲が異なります。ドクターズクラークは医師の事務業務を担当するスタッフです。多忙な医師に代わって、診断書、紹介状など文書作成から電子カルテ入力の代行といった事務作業を引き受けます。事務仕事を代行することで、医師は研究や教育など専門性のある業務に集中できるのが利点です。
2.医療秘書の主な仕事内容
医療秘書は医師や看護師、院内の関係者など多くの方と接する仕事であり、コミュニケーションスキルの高い方が歓迎されます。また、医療の専門知識を問われる現場で働くため、病気の種類や治療法を学ぶ意思のある方も活躍できる職業です。
では、医療秘書は具体的に、どのような仕事内容を担当するのでしょうか。ここからは、医療秘書の主な仕事内容を3つの項目に分けて詳しく解説します。
2-1.秘書業務
医療秘書の担当する秘書業務には、一般企業の秘書同様の仕事・病院やクリニックで働く秘書ならではの仕事の両方が含まれます。具体的には下記のような内容が、医療秘書に任される秘書業務です。
- 電話応対や来客対応
- 医療情報の収集・整理
- 医師や看護師のスケジュール管理
- 学会・研究会への同行や出張の手配
医療の第一線で働く医師は、学会に参加し、研究結果を報告する機会が多くあります。学会に参加するための宿泊施設や交通手段を手配したり、情報収集を手伝ったりすることも、秘書業務の一部です。
2-2.事務・受付業務
職場によっては、医療秘書が医療事務や医療事務補助者の仕事を兼務し、幅広い業務を担当するケースがあります。下記は、医療秘書に任される事務・受付業務の具体例です。
- 診療報酬の請求手続き
- 診療記録の入力
- 診断書や証明書など必要文書の作成支援と事務処理
- 検査結果やレントゲンフィルムの整理と事務管理
- 行政上の届出や報告
- 窓口における患者対応全般
- ナースステーションにおける伝票整理
大規模な病院では医療事務・医療事務補助者と医療秘書が分業されるケースも多く、上記の業務の一部は、他の職業の方に任されることもあります。医療秘書の求人に応募する際には、就職先の規定する業務範囲を忘れずに確認しましょう。
2-3.資料作成・管理業務
医療秘書は、患者の情報管理や学会用の資料作成サポート業務も担います。具体的には、下記のような内容が医療秘書に任される資料作成・管理業務の具体例です。
- 患者の検査結果・レントゲンフィルム・カルテの管理
- 学会用資料・文書作成のサポート
医療秘書の扱う情報には重要性の高いものが多いため、取り扱いには細心の注意を要します。医師や看護師の指示を的確に把握し、思わぬミスの起こらないように注意しつつ、日々の業務にあたりましょう。
3.医療秘書の仕事のやりがいは?
医療秘書の仕事に就くと、どのようなやりがいを感じるのか気になる方もいるでしょう。医療従事者のサポートに徹し、後方から支えるのが秘書業務の真髄です。医療秘書を続けると感じられるやりがいの代表例をいくつか解説します。
・人から感謝される
医療秘書は、サポートした相手から感謝される仕事です。医療秘書のサポートを受けた相手は業務や研究に集中できる時間を増やせます。多忙な医療従事者にとって、スケジュールを管理し、予定をマネジメントしながら本業に対応するのは難しいのが実情です。細々とした雑務に専門性を持って対応する医療秘書はありがたい存在であり、医療従事者の活動にも間接的に貢献できるでしょう。
・医療に関する知識が身につく
医療秘書を続けていると、医療に関する知識が身につきます。医療秘書は医療行為に関わることはありませんが、医療業界に身を置いているために治療法や薬、保険など最新の医療情報を得られるのがメリットです。病院を受診する際、医師に症状をうまく伝えやすいという利点もあります。
・長く働き続けられる
医療秘書は、長く働き続けられる仕事です。医療業界は景気に左右されず、求人が安定しています。また、専門知識が必要な仕事であることもポイントです。業務を続けながら専門知識を身につければ、ライフステージが変わっても仕事に就ける可能性がアップします。社員、パート、派遣社員など、業務形態も選択肢が豊富なため、結婚や出産、転勤を経験しても場所を選ばず全国で勤務場所を見つけられるのが利点です。
・社会貢献につながる
医療秘書のやりがいは、社会貢献につながると言っても過言ではありません。医師本来の活動に秘書的な面から貢献しているためです。医師の秘書業務を請け負うことで、患者の診察に集中できる環境を実現します。また、医師の研究活動を裏方としてサポートしながら、質の高い研究内容に近づく手助けができるのも貴重な体験です。
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4.医療秘書の1日のスケジュール
医療機関が医療秘書に依頼する仕事は多岐にわたるため、医療秘書としてどのようなスケジュールで働くかは就職先によって異なります。大学病院や総合病院などで個人秘書として勤務する場合は、医師のサポートが主な業務です。
小規模のクリニックや診療所では、医療事務と同じく窓口対応を求められるケースもあることを知っておきましょう。以下では、総合病院の医師に個人秘書として勤務した場合の1日のスケジュールをまとめました。
8:00 | 出勤 医師と1日の予定を確認 |
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8:30 | 病院全体の朝礼に参加 |
9:00 | 来週の学会参加のためのフライトと宿泊先を予約 医師宛の電話やメール対応 医師と来週の予定確認 車と昼食の手配 在籍している医師とのミーティング対応 |
12:00 | 昼食 |
13:00 | 医師を病院玄関で見送り 午後の会議資料を準備 |
14:30 | 医師を病院玄関で出迎え後、会議に同席 |
16:00 | 医師の研究データをまとめる 論文用の資料収集、整理 翌日のスケジュールチェック、書類準備 |
18:00 | 退勤 |
5.医療秘書の給料相場
医療秘書の平均年収は、給与所得者の平均年収を下回ります。医療秘書の平均年収と給与所得者の平均年収を比較した内容が、下記の表です。
給与所得者の平均年収(※) | 約458万円 |
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医療秘書の平均年収 | 約420万円 |
出典:中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」
医療秘書の平均年収は給与所得者の平均年収と比較し、わずかに低い水準です。ただし、医療秘書の給料相場は、勤務地や病院・クリニックの規模、勤続年数や実務経験などに応じて変化する点に注意しましょう。
6.医療秘書になるための方法
医療秘書になるためには、医療福祉分野の専門学校や大学、短大を卒業して求人に応募する方法が一般的です。医療秘書になるための必須資格はありません。「未経験OK」と明記された求人情報も少なからず見られるので、無資格から就職・転職活動に臨み、医療秘書になることも可能です。
しかし、医療秘書は医師や看護師など医療分野の専門職とともに働く仕事であり、最低限の専門知識を取得した上で就職・転職した方が、仕事に慣れるまでの期間を短縮できます。医療秘書が取得すると有利な資格について知り、いち早く現場で活躍できる人材を目指しましょう。
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6-1.医療秘書が取得すると有利な資格
医療秘書が取得すると有利な資格の具体例を紹介します。資格を取得することで、就職・転職活動の書類選考や面接で「医療秘書として活躍したい」という熱意をアピールできます。
(1)医療秘書技能検定 |
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医療秘書教育全国協議会が主催する民間資格であり、レセプト作成など医療事務スタッフに必要な技能を有することを証明する検定です。 |
(2)秘書技能検定 |
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秘書業務に関する知識・スキルを問う検定試験であり、ビジネスの場で必要な共通の知識・技能、 社会人として求められる一般常識や接遇・マナーなどを学べる検定です。 |
上記の他に、電子カルテ操作スキルを示す「電子カルテ実技検定」や「医事コンピュータ技能検定」も、医療秘書が取得すると有利に働く資格です。
7.医療秘書の将来性は?
将来はAIが台頭し、事務職の将来性を不安視する声も聞こえてきます。しかし、医療秘書としての仕事の需要がなくなることはありません。医療と患者をつなぐためのきめ細やかなサービスを提供する医療秘書の需要は継続して必要とされます。
医療現場では、医師や看護師不足が深刻な問題となっています。医療従事者の負担を減らすため、大規模の病院では分業化を進めており、医療従事者のサポートを行う医療秘書の活用はより進んでいます。
また、近年では医療秘書が必要とされる場所も変化しています。主に規模の大きな医療機関で活躍していた医療秘書ですが、近年では小規模クリニックや診療所でもサポート業務の需要が高まっています。
医療秘書は内科や外科に限らず、幅広い診療科で必要とされている職業です。さらに、医学的に専門性の高い知識を持っている医療秘書は、製薬会社、医療機器メーカーなど、医療をとりまく分野でも需要が増しています。
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8.医療秘書に向いている人の特徴
医療秘書に向いている人には、いくつか特徴があります。未経験の場合でも、医療秘書に必要な適正を身につけていることをアピールすると、採用につながります。ここでは、どのようなタイプの人が向いているのかを解説します。
8-1.コミュニケーションを取るのが得意
医療秘書は、コミュニケーションを取るのが得意なタイプに向いています。事務職とは言え、医療秘書はさまざまな人とやりとりをしながら情報を収集する必要があるためです。
書類を作成する際は、医師や看護師、薬剤師などから情報をヒアリングする機会も多くあります。また、依頼主から指示を受けて、患者と直接窓口で話をするのも実務の一環です。誰とでも笑顔で話せるコミュニケーションのスキルがあると、仕事が進めやすいでしょう。
8-2.知識を身につけるのが好き
医療秘書は、知識を身につけるのが好きというタイプの人には向いている職業です。医療秘書は資格がなくても就ける職業ですが、業務にはある程度、医療に関する専門的な知識が必須になります。
知識を身につけると、医師や看護師の仕事内容が理解できるようになります。状況に応じて医療秘書としての対応を予測することが可能になり、自分の仕事に反映できます。常に新しい知識を学びたいと思える人は、より活躍できるでしょう。
8-3.正確に作業を進められる
正確に作業を進められる人は、医療秘書に向いています。医師のスケジュールを管理したり、医療に関わる書類を作成、処理したりする医療秘書は、正確さが欠けていては仕事になりません。正しい情報をミスなく記録し、確認を怠らない実直さが必要です。
近年では電子カルテやシフト、勤怠管理などのシステムを利用する病院も増えています。パソコン操作や新しいシステム導入に苦手意識を持つことなく、細かな仕事に対応できる正しいITリテラシーを持った上で、ミスのない作業を行うことが求められます。
まとめ
医療秘書の仕事内容は、秘書業務や事務・受付業務、資料作成・管理業務と、非常に多岐にわたります。いち早く実務スキルを覚えて、一人前の医療秘書になるためには、業界からの信頼の厚い専門学校で学ぶ方法がおすすめです。
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